石山合戦で生き残った、宗教自治都市・寺内町
江戸時代には商業の町として大きく発展。今も当時の町並みが残る重要伝統的建造物群保存地区
戦国時代、寺内町と呼ばれる宗教自治都市が各地に誕生しました。宗教自治都市とは寺院を中心に形成された都市のことで、大名や領主などの干渉を排して自治を確立。町全体を境内と見なして、信者たちが生活をともにしていました。今もその面影が残る貴重な町並みのひとつが、近鉄長野線「富田林」駅から南に400mほどの場所に位置する、富田林寺内町です。永禄初年(1558~1570年)頃、京都の興正寺第16世の証秀上人がこの地に興正寺別院を建立。上人の指導のもと、近隣4村の有力者たちを呼び寄せて開発が行われました。浄土真宗本願寺勢力と織田信長との戦いにおいて和平を選択したことで生き残り、江戸時代には幕府直轄領に。その後、商業の町として大きく発展しました。
御堂を中心に整然と並ぶ町割の区画が今もその姿をとどめており、当時の町並みを残しています。その広さは東西約470m、南北約400m。1997年に、大阪府で唯一の国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。今も人々が生活の場として暮らしながら、静かな佇まいを今に伝えています。富田林寺内町の創立にかかわった旧家の一つで、江戸時代には造り酒屋として栄えた旧杉山家住宅は、現存する家屋の中でも最も古い建造物。代表的な町屋として国の重要文化財に指定され、一般公開されています。また近年では、古い町家を活用した新しいお店も増えており、町歩きやショッピングが楽しめる観光エリアです。
- 〒584-0033 大阪府富田林市富田林町
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ウェブサイト
- ・近鉄富田林駅から徒歩5分
・南阪奈道路羽曳野ICから国道170号経由5km15分