水前寺成趣園は、肥後国熊本藩細川家の大名庭園。こんこんと清水が湧き出るこの地を気に入った初代藩主の忠利が、1632年に御茶屋を建てたのがはじまりです。のちに三代綱利によって大規模な作庭がおこなわれ、1671年に桃山式の優美な回遊式庭園が完成。中国の詩人・陶淵明の詩に由来して、「成趣園」と命名されました。阿蘇の伏流水が湧き出る約10,000㎡の池を中心に、富士山を模した築山や松、浮石などが配され、四季折々の庭園美を楽しむことができます。
湖畔に建つ茅葺屋根の建物は、1912年に京都御所内から移築された「古今伝授の間」。1600年に細川藤孝氏(別名幽斎)が智仁親王に古今和歌集の奥義を伝授した由緒ある建築物で、ここから眺める成趣園の風景が最も美しいとされています。園内の北側には、細川家歴代藩主とガラシャ夫人を御祭神とする「出水神社」が鎮座。西南戦争で荒廃した熊本城下の復興を願い、細川家を慕う旧藩士たちによって1878年に創建されました。第二次世界大戦の戦禍により社殿のほとんどが焼失しましたが、1973年に再建。その想いは今に受け継がれています。長い歴史に育まれた細川文化と築庭当時の姿を残す、貴重な大名庭園です。
- 〒862-0956 熊本県熊本市中央区水前寺公園8-1
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